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犬・猫の多頭飼いに必要な知識を解説!
多頭割引のペット保険も比較

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犬や猫を家族として迎え入れ、愛情を注いで育てていると、「もう1匹迎えたい」と考える方も多いのではないでしょうか。多頭飼いは、ペット同士の触れ合いや新たな発見など、たくさんの喜びをもたらしてくれます。
しかし、多頭飼いには十分な準備と計画、事前に検討すべきポイントがたくさんあります。特に医療費については、複数のペットを飼うことで同時に治療が必要になるリスクもあり、経済的な備えが重要になります。
この記事では、多頭飼いに関する基本的な知識から注意点、費用面での準備、そして多頭飼いだからこそ検討したいペット保険の多頭割引制度まで、詳しく解説していきます。多頭飼いを検討中の方も、すでに多頭飼いをされている方も、ぜひ参考にしてください。
- 目次
犬・猫の多頭飼いとは?基本的な知識と魅力
多頭飼いとは、同じ家庭で複数の犬や猫を同時に飼育することを指します。犬同士、猫同士はもちろん、犬と猫を一緒に飼う場合も多頭飼いに含まれます。近年、ペットを家族として大切にする飼い主さんが増える中で、多頭飼いを選択される方もいらっしゃいます。
多頭飼いを始める理由とメリット
多頭飼いを始める理由として多く聞くのは「先住ペットに仲間を作ってあげたい」という愛情からくるものです。ペット同士が仲良く過ごしている姿は、飼い主さんにとって何にも代えがたい喜びとなるのではないでしょうか。
- 多頭飼いの主なメリット
-
- ペット同士の社会性向上
他のペットとの触れ合いにより、社会性が育まれます。 - 運動不足の解消
ペット同士で遊ぶことで、自然と運動量が増加します。 - 留守番時の寂しさ軽減
飼い主さんが外出中も、ペット同士で過ごせるため心細い思いをさせずにすみます。 - 飼い主さんの癒し効果増大
複数のペットとの触れ合いで、より大きな癒し効果が期待できます。
- ペット同士の社会性向上
多頭飼いに向いている犬種・猫種の特長
すべての犬や猫が多頭飼いに適しているわけではありません。まずは性格や犬種・猫種の特性を知ることから始めましょう。
例えば、縄張り意識が強く単独行動を好む猫種や、警戒心が強く他の動物に対して攻撃的になりやすい性格の子は、多頭飼いにはあまり向いていないことがあります。無理に一緒に飼うとストレスの原因になるため、性格や過去の飼育歴も考慮することが大切です。
では、多頭飼いに比較的向いているとされる犬種・猫種にはどのような特長があるのでしょうか。
多頭飼いに向いている犬種の特長
- 社交的で他の犬との相性が良い
- ゴールデンレトリバー、
ラブラドールレトリバーなど
- 温厚で攻撃性が低い
- シーズー、
キャバリアなど
- 群れで生活する本能が強い
- コーギー、
ビーグルなど
多頭飼いに向いている猫種の特長
- 人懐っこく社交的
- アメリカンショートヘア、
スコティッシュフォールドなど
- 温厚で他の猫を受け入れやすい
- ラグドール、
メインクーンなど
- 活発で遊び好き
- アビシニアン、
ベンガルなど
多頭飼いで大切な心構え
多頭飼いをする場合、飼い主さんの心構えも大切になります。それぞれのペットに平等に愛情を注ぎ、個性を尊重することが求められます。
また、ペット同士の相性には個体差があり、必ずしも仲良くなるとは限りません。時間をかけて慣れさせる忍耐力と、場合によっては別々の空間で飼育する柔軟性も必要です。何よりも、すべてのペットが幸せに暮らせる環境を整えることを最優先に考えましょう。
多頭飼いを始める前に知っておくべき注意点
多頭飼いはたくさんの喜びをもたらしてくれますが、その分さまざまな課題も伴います。事前にしっかりと注意点を理解し、十分な準備をすることが大切です。
Check1先住ペットとの相性を慎重に判断する
多頭飼いで特に気を付けるべきなのは、先住ペットと新しいペットの相性です。年齢、性格、体格差などを総合的に考慮する必要があります。
- 相性を判断するポイント
-
- 年齢差
あまりに年齢差がある場合、体力や生活リズムの違いからストレスが生じることがあります。 - 性格の適性
社交的な性格か、他のペットを受け入れられる性格かを見極めます。 - 体格差
大型犬と小型犬のような体格差がある場合、遊びの中でも事故につながる可能性があります。
- 年齢差
新しいペットを迎える前に、可能であれば事前に対面させる機会を設けることをおすすめします。ペットショップや保護施設、ブリーダーさんに相談して、慎重に判断しましょう。
Check2住環境の整備と近隣への配慮が必要
多頭飼いでは、単頭飼いに比べて住環境への配慮がより一層必要となります。特に集合住宅にお住まいの場合は、騒音や臭いなどで近隣にご迷惑をおかけしないよう注意が必要です。
- 住環境で考慮すべき点
-
- 十分なスペースの確保
それぞれのペットがストレスなく過ごせる広さが必要です。 - 防音対策
複数のペットが一緒にいることで、鳴き声や足音が大きくなる可能性があります。 - 換気・消臭対策
ペットの数が増えると、臭いの管理がより重要になります。 - 賃貸住宅の契約確認
多頭飼いが許可されているか、頭数制限がないかを確認しましょう。
- 十分なスペースの確保
ペットが増えるほど、飼育スペースや臭い・音など、周囲への影響も大きくなります。事前に住まいや周囲の環境を見直すことで、快適な多頭飼いが実現します。
Check3時間と手間の増加への覚悟
多頭飼いでは、お世話にかかる時間と手間が当然ながら増加します。それぞれのペットに十分な愛情と時間を注げるか、事前にしっかりと検討することが大切です。
- 増加する日常のお世話
-
- 食事の管理
年齢や体調に合わせて、個別に食事管理を行う必要があります。 - 散歩や運動
犬の場合、複数匹を同時に散歩させる技術と体力が求められます。 - グルーミング
ブラッシングや爪切りの時間が増加します。 - しつけと訓練
それぞれの個性に合わせたしつけが必要になります。
- 食事の管理
日々のお世話の負担が増えるため、スケジュールの見直しや家族内での役割分担を検討しておくと安心です。
Check4多頭飼いが難しいケース
新しい家族を迎えいれたいと考えていても、多頭飼いが難しいケースがあります。以下のような場合は、多頭飼いを控えた方が良いでしょう。
- 多頭飼いを控えた方が良いケース
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- 先住ペットが高齢や病気の場合
新しい環境変化がストレスとなる可能性があります。 - 攻撃性の強い性格の場合
他のペットに対して攻撃的な行動を示す場合は危険です。 - 経済的余裕が不十分な場合
医療費を含めた費用負担に耐えられない場合は無理をしない判断が必要です。 - 時間的余裕がない場合
十分なお世話をする時間の余裕がない状況は、飼い主さんもペットにも負担がかかります。
- 先住ペットが高齢や病気の場合
ペットを迎えたい気持ちが強くても、無理な多頭飼いはペットにも飼い主さんにも大きな負担となります。状況を冷静に見極めましょう。
多頭飼いにかかる費用を詳しく解説
多頭飼いを検討する際に把握しておく必要がある要素の一つが費用面についてです。単純に頭数分の費用がかかるだけでなく、多頭飼い特有の出費もあります。事前にしっかりと計算し、無理のない範囲で始めることが大切です。
初期費用(ケージ・食器・トイレ用品など)
新しいペットを迎える際には、様々な用品を新たに準備する必要があります。既存のものを共用できる場合もありますが、衛生面や安全面を考慮すると、それぞれ専用のものを用意するのが理想的です。
主な初期費用の目安
- ケージ・サークル犬:8,000円~30,000円
猫:5,000円~20,000円 - 食器・給水器1,000円~5,000円
- トイレ用品犬:2,000円~8,000円
猫:3,000円~10,000円 - ベッド・クッション3,000円~15,000円
- おもちゃ・グルーミング用品5,000円~10,000円
- 首輪・リード2,000円~8,000円
合計で、犬の場合は約21,000円~76,000円、猫の場合は約19,000円~68,000円程度の初期費用を見込んでおきましょう。
継続的な費用(食費・トリミング・予防接種など)
多頭飼いでは、毎月かかる継続的な費用も頭数分必要になります。特に食費は毎日のことなので、家計への影響も大きくなります。
月々かかる継続的な費用の目安
- 食費犬:2,000円~8,000円
猫:2,000円~4,000円 - トリミング犬:3,000円~8,000円(月1回)
猫:基本的に不要 - ペットシーツ・猫砂1,000円~3,000円
- 予防接種・健康診断年間15,000円~30,000円
(年割りで月1,200円~2,500円) - フィラリア・ノミダニ予防薬月1,000円~3,000円
飼育する種類や個体の特性などによって継続的にかかる費用は異なりますが、1匹あたり月々5,000円~25,000円程度の継続費用がかかると考えておきましょう。
医療費負担が大幅に増加するリスク
多頭飼いで特に注意すべきなのが医療費の負担です。ペットの医療費は、人間のように保険制度が充実していないため、全額自己負担となります。複数のペットが同時に体調を崩した場合、医療費が一気に跳ね上がるリスクがあります。
- 多頭飼いで考えられる医療費のリスク
-
- 感染症の同時発症
1匹が感染症にかかると、他のペットにも感染する可能性があります。 - 誤飲・誤食事故
複数のペットがいると、おもちゃの取り合いなどで誤飲リスクが高まります。 - ケンカによるケガ
相性が悪い場合や遊びが激しくなった場合のケガ。 - 加齢による医療費増大
複数のペットが同時期に高齢になると、病気のリスクが上昇し医療費が集中する可能性があります。
- 感染症の同時発症
一般的な診療費の例として、外科手術では10万円~30万円、がん治療では20万円~100万円以上かかることもあります。これが複数匹分同時に発生する可能性を考えると、相当な経済的負担となります。
多頭飼いだからこそペット保険が重要な理由
多頭飼いをする場合、単頭飼いに比べてペット保険の重要性が格段に高くなります。医療費リスクが複数倍になる可能性があるため、事前の備えが欠かせません。
医療費が同時に発生するリスク
多頭飼いで最も怖いのは、複数のペットが同時期に治療を必要とするケースです。特に感染症の場合、1匹が発症すると他のペットにも感染が広がり、飼っているペットすべてに対して治療が必要となる場合があります。
同時発症しやすい病気の例
- 感染性胃腸炎
- ウイルス性の胃腸炎は感染力が強く、多頭飼い環境では感染が拡大しやすくなります。
- 皮膚病
- 細菌性やカビが原因の皮膚病は、接触により感染することがあります。
- 寄生虫感染
- ノミ・ダニ・回虫などの寄生虫は、ペット同士で感染しやすいものです。
- 呼吸器疾患
- ケンネルコフなどの呼吸器感染症は、くしゃみや咳により感染が広がります。
これらの疾患で複数匹が同時に治療を必要とする場合、医療費が10万円を超えることも珍しくありません。
多頭飼い特有のケガや病気
多頭飼いならではの環境で発生しやすいケガや病気もあります。これらは単頭飼いでは起こりにくいため、多頭飼いを始める前に十分理解しておくことが大切です。
- 多頭飼い環境で起こりやすいトラブル
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- ケンカによる外傷
相性が悪い場合や序列争いでケガをすることがあります。 - 食べ物の取り合いでの事故
早食いや喉詰まりのリスクが高まります。 - おもちゃの誤飲
他のペットのおもちゃを誤って飲み込んでしまうことがあります。 - ストレス性疾患
環境変化や他のペットとの関係でストレスを感じ、体調を崩すことがあります。
- ケンカによる外傷
経済的負担を軽減する多頭割引制度
ペット保険の中でも、多頭飼いの医療費リスクの経済的負担を減らせるように、一部の保険会社では「多頭割引」制度が設けられています。この割引制度を利用することで、保険料負担を軽減しながら、しっかりとした医療費補償を受けることができます。
- 多頭割引制度のメリット
-
- 保険料の負担軽減
保険料が割引になります。 - 家計管理の手間軽減
同じ保険会社でまとめることで、支払いや手続きが楽になります。 - 同時請求の利便性
複数のペットが同時に治療を受けた場合も、まとめて請求できます。
- 保険料の負担軽減
ただし、割引率や適用条件は保険会社によって異なるため、比較検討することが重要です。多頭割引があるペット保険の比較表は、次の章「多頭割引があるおすすめのペット保険4社を紹介」で詳しく紹介します。
多頭割引があるおすすめのペット保険4社を紹介
多頭飼いを検討している方、すでに多頭飼いをされている方におすすめの、多頭割引制度があるペット保険4社をご紹介します。多頭割引の基本的な適用条件なども解説しますので、ご家庭の状況に合わせて、保険選びの参考にしてください。
多頭割引の基本的な仕組みと適用条件
多頭割引は、同一契約者が複数のペットを同じ保険会社で契約することで適用される割引制度です。多頭割引と混同しやすいものとして、「ペット保険の複数加入」がありますが、これらは全く異なる制度です。複数加入は1匹のペットに対して複数の保険を組み合わせて補償を手厚くする目的のもので、多頭割引の対象にはなりません。
1匹のペットに対して補償を手厚くする複数加入については、「ペット保険の複数加入とは?2つ入るメリット・デメリット」もご参照ください。
先述した通り、多頭割引は同一の飼い主さんが複数のペットを同じ保険会社で契約することで割引が適用されます。ただし、保険会社によって割引の仕組みや適用条件が異なりますので、詳細は必ず各社の保険の約款を確認するようにしましょう。
割引の適用方法も保険会社によって異なり、「保険料からの一定率割引」や「年間固定額の割引」など様々な形態があります。
多頭割引ありのペット保険4社7商品の比較!
多頭割引制度がある主要な4社7商品の比較表
引受保険会社名/ 商品名 |
商品詳細比較 | |
---|---|---|
アイペット損保 |
多頭割引 | 2~3契約:2% 4契約以上:3% |
補償内容 | 通院/入院/手術 | |
補償割合 | 50%、70% | |
アイペット損保 |
多頭割引 | 2~3契約:2% 4契約以上:3% |
補償内容 | 入院/手術 | |
補償割合 | 90% | |
アニコム損保 |
多頭割引 | 600円/年 |
補償内容 | 通院/入院/手術 | |
補償割合 | 50%、70% | |
アニコム損保 |
多頭割引 | 600円/年 |
補償内容 | 入院/手術 | |
補償割合 | 50%、70% | |
SBIプリズム少額短期保険 |
多頭割引 | (2~3頭)5% (4頭以上)8% ※犬・猫のみ |
補償内容 | 通院/入院/手術 | |
補償割合 | 100% | |
日本ペット |
多頭割引 | 年間900円 |
補償内容 | 通院/入院/手術 | |
補償割合 | 50%、70%、90% | |
日本ペット |
多頭割引 | 年間900円 |
補償内容 | 通院/入院/手術 | |
補償割合 | 90% |
各社の多頭割引比較ポイント
割引率だけでなく、基本の保険料、補償内容、窓口精算の有無、免責金額なども総合的に比較することが重要です。また、将来的にペットの頭数が変わる可能性も考慮し、柔軟に対応できる保険会社を選ぶことをおすすめします。
各社の詳細な商品内容や保険料の比較は、プラン別に一括比較できる「保険料検索ページ」をご活用ください。
また、犬や猫それぞれの人気ペット保険をランキング形式でご紹介しています。実際に契約数が多く人気の保険を知りたい方は、以下のランキングページもぜひご参考ください。
まとめ|多頭飼いは適切な準備と、多頭割引がある保険で負担を抑え安心を
多頭飼いは、ペット同士の触れ合いや飼い主さんへの癒し効果など、たくさんの喜びをもたらしてくれる素晴らしい選択です。しかし同時に、十分な準備と計画、そして経済的な備えが欠かせません。
特に医療費については、複数のペットが同時に治療を受ける可能性があるため、ペット保険の重要性が格段に高くなります。今回ご紹介したように多頭割引制度があるペット保険を活用すれば、保険料負担を抑えながら安心を得ることができます。
多頭飼いを検討されている方は、まずは先住ペットの性格や健康状態をしっかりと把握し、新しい家族を迎える準備を整えてください。そして、万が一の医療費に備えて、ご家庭に最適なペット保険をお選びいただければと思います。
この記事の情報は一般的な目安であり、実際の診療費は動物病院や地域によって異なります。実際の保険内容は各保険会社の最新の約款をご確認ください。
- 執筆者
- 染谷 弥幸(1級ファイナンシャル・プランニング技能士/株式会社アイ・エフ・クリエイト)
「安心できる金融商品選びをわかりやすくカンタンに」という当社のミッションを胸に、お客様が自分に合った商品をみつけるための情報をわかりやすく紹介します。